肺動脈性肺高血圧症
肺動脈性肺高血圧症(PAH: Pulmonary Arterial Hypertension)は、肺動脈に高い血圧がかかることによって、心臓や肺に負担がかかる進行性の疾患です。放置すると右心不全に至り、命に関わる可能性もあります。
■ 特徴
- 肺動脈の内側が狭くなったり硬くなったりして、血液がスムーズに流れなくなる。
- 心臓の右心室が血液を肺に送るために強く働く必要があり、最終的に右心室の機能が低下。
■ 主な症状
初期には目立った症状が少ないことが多く、進行とともに以下が見られます:
- 息切れ(特に運動時)
- 疲れやすさ
- めまい・失神
- 胸痛
- 足のむくみ
■ 原因
PAHは大きく分けて特発性(原因不明)と続発性(他の疾患などに伴う)があります。
特発性(idiopathic PAH)
- 原因が明確でないが、遺伝的素因があることも。
続発性(関連疾患あり)
- 結合組織疾患(例:全身性強皮症)
- 先天性心疾患
- HIV感染
- 肝疾患(門脈圧亢進を伴うもの)
- 食欲抑制剤などの薬剤
■ 診断方法
- 心エコー検査
- 右心カテーテル検査(確定診断に必要)
- 胸部X線、肺機能検査、血液検査なども補助的に行われます。
■ 治療法
PAHは完治が難しい病気ですが、早期の診断と治療で進行を抑えることが可能です。
主な治療
- 肺血管拡張薬(プロスタサイクリン誘導体、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬など)
- 酸素療法
- 利尿剤(右心不全対策)
- 抗凝固療法(一部の症例に)
- 最重症例には肺移植が検討されることも